EIGRPの概要 ~基礎編②~
今回の授業は、前回に引き続き『EIGRP(Enhanced Interior Gateway Routing Protocol)の概要』についてです。前回、サクセサとフィージブルサクセサについて触れました。もう少し詳細についてみていこうと思います。前回の授業を読まれていない方は、こちらから。
フィージブルサクセサの仕組み
前回の授業で、『フィージブルサクセサになれる条件が、こんなにもめんどくさいのでしょうか?』という問いを投げかけたまま終わってしまったので、その続きから。
フィージブルサクセサになれる条件
まず復習になりますが、フィージブルサクセサになれる条件がありましたね。それは、『ルート情報をもらった機器のメトリック値がサクセサのメトリック値よりも小さいこと』です。もう少しネットワークエンジニア的な言い方に変えると、『AD(アドバタイズドディスタンス)がFD(フィージブルディスタンス)を下回る場こと』がフィージブルサクセサになれる条件となります。
なんでこのような条件があるのでしょうか?それは、『ループを防ぐため』なんです!って唐突に書かれている参考書がありますが、これじゃさっぱりでしょ?それでは、以下の構成があったらどうでしょうか?
セグメントAの情報を以下の順番で伝達されていきます。黒板を使って順序を追っていきますので確認していきましょう!
ん?変だと思いませんか?ルータ#2からもらった情報がルータ#3、4を介して戻ってきていますよね?この状態でルータ#2のフィージブルサクセサにルータ#4を選んでしまっても意味がないですよね?結局、ルータ#1とルータ#2間のケーブルが切れたら通信出来ないのですから。そのため、以下のような処理がされるのです。
ここでルータ#2は、『ルータ#4からもらった情報は自分が配布したルート情報が戻ってきた可能性があるため信用できない!』と判断するのです。それでは、フィージブルサクセサがない場合は、どのような処理が行われるのでしょうか?
クエリによるルート検索
フィージブルサクセサがない場合にサクセサがダウンすると、ルータは代替ルートを探すために『クエリ』と言う問合せパケットを隣接ルータに投げます。この『クエリ』を受け取った隣接ルータは、自分に代替ルートがあればクエリ応答パケットを返しますが、なければ更に隣接ルータへとクエリを配信していきます。これを繰り返すことで代替ルートを見つけるのです。
それでは、フィージブルサクセサがない状態でサクセサがダウンした場合を図で見てみましょう。
このようにして、代替ルートを探し出すわけですが、フィージブルサクセサがあるかないかで迂回時間に差が生じます。フィージブルサクセサがあれば、デフォルトで15秒以内で切り替えられる設計になっていますが、フィージブルサクセサがなければその限りではありません。
※ちなみに15秒と言っているのは、Helloパケット3回で切り替えるようになっているためで、広帯域のインターフェイスでの話となります。INS回線のような低帯域の場合は、60秒間隔でHelloパケットが出されるため180秒程度の時間を要することになります。Helloパケットの間隔や断と判断する回数も変更することが可能ですが、Cisco社推奨値を変更するのであれば十分な検証が必要です。
まとめ
今回の授業は、ここまでです。どうしてフィージブルサクセサになるために条件が必要かわかってもらえたでしょうか?「なんとなくそんなもんだ…。」で納得するのではなくちゃんと理解して進んでいきましょうね!次回は、EIGRPのネイバー関係が確立するまでの流れを学習していくので楽しみにしていてくださいね~♪
ルーティングの授業
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