GRE Tunnel の設定 〜基礎編〜
今回の授業は、「GREトンネルの設定」について教えていきたいと思います。前回の授業で概要を解説していますので、まだ読まれていない方は、こちらの授業から読んでくださいね。
GRE Tunnel の概要 〜基礎編〜
Contents
お勉強構成
それでは、お勉強構成を紹介させていただきます。今回は、ルータを2台とL3SWを1台で構成を組んでみたいと思います。
CISCO Catalyst 3560-8PC-S
事前設定
それでは、事前設定をしていきたいと思います。今回は、インターフェイス設定とルーティング設定(スタティックルート)をしておきたいと思います。
インターフェイス設定
まずはインターフェイス設定から。お勉強構成図を見ながら設定していきましょう。今回使用するルータのインターフェイスはルーテッドポートとなりますので、開放されていない場合は、忘れずに「no shutdown」を入れましょうね。
【RT1】
RT1(config)#interface Loopback0
RT1(config-if)#ip address 10.1.1.1 255.255.255.255
RT1(config-if)#!
RT1(config-if)#interface FastEthernet0
RT1(config-if)#ip address 10.10.10.1 255.255.255.0
RT1(config-if)#no shutdown
【RT2】
RT2(config)#interface Loopback0
RT2(config-if)#ip address 10.1.1.2 255.255.255.255
RT2(config-if)#!
RT2(config-if)#interface FastEthernet0
RT2(config-if)#ip address 10.10.20.1 255.255.255.0
RT2(config-if)#no shutdown
擬似WAN環境として、L3SW(Cat3560-8PC)を使用します。そのため、ルーティング処理をさせる場合、「ip routing」の設定が必要になります。詳しくは、以前の授業でL3SWの初期設定を学んでおいてください。
CiscoのL3スイッチを使ってみよう!
それでは、擬似WAN機器の設定をしていきましょう。
【WAN】
WAN(config)#ip routing
WAN(config)#!
WAN(config)#interface FastEthernet0/1
WAN(config-if)#no switchport
WAN(config-if)#ip address 10.10.10.2 255.255.255.0
WAN(config-if)#!
WAN(config-if)#interface FastEthernet0/2
WAN(config-if)#no switchport
WAN(config-if)#ip address 10.10.20.2 255.255.255.0
これだけです。L3SWのインターフェイスに直接IPアドレスを設定する場合は、アドレス設定する前に「no switchport」設定を入れて、ルーテッドポートとして使用することを宣言する必要がありましたね。これも忘れないようにしましょうね!
ルーティング設定
それではルーティングの設定をしていきますが、今回は最初ですのでスタティックルートで設定してみたいと思います。GREトンネルの設定に関係ありませんが、ルータ1とルータ2間のすべてのインターフェイスに対して、お互いに通信ができるようにしておきます。
【RT1】
RT1(config)#ip route 10.1.1.2 255.255.255.255 10.10.10.2
RT1(config)#ip route 10.10.20.0 255.255.255.0 10.10.10.2
【RT2】
RT2(config)#ip route 10.1.1.1 255.255.255.255 10.10.20.2
RT2(config)#ip route 10.10.10.0 255.255.255.0 10.10.20.2
【WAN】
WAN(config)#ip route 10.1.1.1 255.255.255.255 10.10.10.1
WAN(config)#ip route 10.1.1.2 255.255.255.255 10.10.20.1
これで事前設定は完了です。スタティックルートの設定なので、それほど難しくなく設定できましたか?それでは次に進みます。
GREトンネルの設定
それでは、今回のメインとなるGREトンネルの設定に入っていきたいと思います。まずは、GREトンネルとして使用する仮想インターフェイスを作成し、使用するIPアドレスを定義します。そのトンネルインターフェイスの接続元と接続先を定義してあげるだけでGREトンネルは構築されるようになります。それでは下記の構成図を見ながら、実際の環境を使って設定してみましょう。
【RT1】
RT1(config-if)#interface Tunnel1
RT1(config-if)#ip address 10.10.100.1 255.255.255.0
RT1(config-if)#tunnel source Loopback0
RT1(config-if)#tunnel destination 10.1.1.2
【RT2】
RT2(config-if)#interface Tunnel1
RT2(config-if)#ip address 10.10.100.2 255.255.255.0
RT2(config-if)#tunnel source Loopback0
RT2(config-if)#tunnel source Loopback0
ここで注意してもらいたいのが、RT1の「tunnel destination 10.1.1.2」がRT2の「tunnel source Loopback0」とイコールになっていること、RT2の「tunnel source Loopback0」とRT1の「tunnel source Loopback0」がイコールになっていることが条件となります。このルールが守られていれば、基本的にはGREトンネルはアップされるはずです。それでは、ステータス確認をしていきましょう。
ステータス確認
それでは、ステータス確認をしていきます。今回使用するコマンドは、以下になります。
確認コマンド
show ip interface brief
show ip route
show ip interface brief
まずは、「show ip interface brief」でトンネルインターフェイスがアップされているかを確認していきます。
【RT1】
RT1#show ip interface brief
Interface IP-Address OK? Method Status Protocol
FastEthernet0 10.10.10.1 YES NVRAM up up
Loopback0 10.1.1.1 YES NVRAM up up
Tunnel1 10.10.100.1 YES NVRAM up up
【RT2】
RT2#show ip interface brief
Interface IP-Address OK? Method Status Protocol
FastEthernet0 10.10.20.1 YES NVRAM up up
Loopback0 10.1.1.2 YES NVRAM up up
Tunnel1 10.10.100.2 YES NVRAM up up
このようにトンネルインターフェイスがアップされていればOKですが、もしアップされていないようでしたら、設定したTunnel sourceインターフェイスからtunnel destinationアドレスに向けて疎通確認をしてみてください。このリーチャビリティが確保されていないと、トンネルはアップしません。
show ip route
それでは、「show ip route」でルーティングテーブルを確認してみましょう。以下のようにルーティングテーブルが見えていたらOKですね。ポイントとなるのが、10.10.100.0/24がConnectで見えていることですね。
【RT1】
RT1#show ip route
・・・
C 10.1.1.1/32 is directly connected, Loopback0
S 10.1.1.2/32 [1/0] via 10.10.10.2
C 10.10.10.0/24 is directly connected, FastEthernet0
S 10.10.20.0/24 [1/0] via 10.10.10.2
C 10.10.100.0/24 is directly connected, Tunnel1
【RT2】
RT2#show ip route
・・・
S 10.1.1.1/32 [1/0] via 10.10.20.2
C 10.1.1.2/32 is directly connected, Loopback0
S 10.10.10.0/24 [1/0] via 10.10.20.2
C 10.10.20.0/24 is directly connected, FastEthernet0
C 10.10.100.0/24 is directly connected, Tunnel1
このようにTunnelが確立されると物理的に間にあるWANの機器を飛ばしてルーティングされるようになります。
疎通確認
それでは疎通確認をしてみましょう。GREトンネルの対向側のIPアドレスにPingが通ればOKになります。実際に試してみましょう。
ルータ1からルータ2への疎通確認
RT1#ping 10.10.100.2
Type escape sequence to abort.
Sending 5, 100-byte ICMP Echos to 10.10.100.2, timeout is 2 seconds:
!!!!!
Success rate is 100 percent (5/5), round-trip min/avg/max = 1/1/4 ms
ルータ2からルータ1への疎通確認
RT2#ping 10.10.100.1
Type escape sequence to abort.
Sending 5, 100-byte ICMP Echos to 10.10.100.1, timeout is 2 seconds:
!!!!!
Success rate is 100 percent (5/5), round-trip min/avg/max = 1/1/4 ms
このようにトンネルインターフェイスに設定したアドレス間で、通信できていることが確認できましたか?
まとめ
今回の授業はここまでとします。いかがだったでしょうか?まずはGREトンネルを作るところまでとしましたが、一緒に設定することができましたでしょうか?次回は、GREトンネルを介してダイナミックルーティングを動かしてみたいと思います。
静的ルーティング(スタティックルート)の授業
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