EIGRPの概要 ~基礎編④~

ベル

今回の授業は、前回に引き続き『EIGRP(Enhanced Interior Gateway Routing Protocol)の概要』についてです。今回の授業は、EIGRPのメトリック計算について教えます。前回までの授業でもメトリックについては、少し教えてきました。今回は、もう少し踏み込んで計算方法をしっかり教えていきたいと思いますので、ついてきてください。

 

メトリックについて

まずメトリックについて振り返ってもらいます。以前の授業でサクセサとフィージブルサクセサについて教えました。忘れてしまった方はこちらから。

EIGRPの概要 ~基礎編②~

EIGRPの概要 ~基礎編②~

 

 

まずメトリックとは、EIGRPによって自動学習されたルートのうち、どの経路を優先すべきかを選択させるための数値となります。そのメトリック値を算出するのに使用されるのが、『帯域幅 (bandwidth)』『負荷(load)』『遅延 (delay)』『信頼性 (reliability)』『MTU』となります。これらの値の合計値が小さい経路を優先するようになります。

 

 

こんなにたくさんの値で計算されるなんて複雑だと思われるかもしれませんが、デフォルトで使用されるのは『帯域幅 (bandwidth)』、『遅延 (delay)』だけになります。とりあえずは、この2つだけ覚えておけば大丈夫ですので、しっかり覚えましょう。

 

 

帯域幅 (bandwidth)

まずは帯域幅からです。帯域幅とは、実際に使用しているインターフェースの物理的な帯域幅ではなく、EIGRPのメトリック計算用の設定帯域のこととなります。ここで設定した帯域幅が実際で使用出来る帯域幅でもないことが要注意です。1Gbpsの物理インターフェースを100Mbosに帯域制御して、EIGRPのメトリックで使用する帯域幅は10Mbpsに設定することも可能です。つまりEIGRPで設定する帯域幅とは、ただの経路優先を決めるためのものですので、ここで指定したから帯域制御できたと思ってはいけません。その帯域幅の計算は以下の通りとなります。

 

 

 

ここで使用される『帯域幅』とは、対象となるセグメントがある場所までで最も帯域幅が狭い値が使用されます。つまり以下のような構成である場合、ルータ2とルータ3間の100Mbpsが一番狭い帯域幅を設計しているため、1Gbpsは無視され100Mbpsが計算で使用されます。

 

 

遅延 (delay)

次に遅延についてです。遅延は使用するインターフェースに応じてデフォルト値が決められています。この値を明示的に変更することで、意図した経路に制御することが可能となります。デフォルト値は以下になります。

 

 

このデフォルト値のままで使用すると、なかなか優先・非優先を決めるのが難しくなるので、出来る限り指定するようにしましょう。計算は、以下の通りとなります。

 

 

ここで使用される『遅延』は、対象セグメントまでの経路で設定されている遅延の値の合算となります。

 

お勉強構成

それでは、お勉強構成をベースにして実際のメトリックを計算してみたいと思います。可能であれば実際に構成を組んで勉強してみましょう。

 

 

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メトリック計算

それでは、実際にネットワーク機器毎にメトリック計算を実施していきたいと思います。

 

RT1のメトリック

ルータ1のVlan10のセグメント(10.10.10.0/24)がどのようなメトリックを持っているかを考えてみましょう。ルータ1自身で想定される帯域幅と遅延は、以下の通りとなります。ちなみに実際は、自分自身のインターフェイスに設定しているセグメントとなるため、ルーティングテーブルではConnectで見えてしまいます。

【RT1】

帯域幅(BW) 100000 Kbit/sec

遅延(DLY) 100 μsec

 

この場合の帯域幅(BandWidth)は、以下のように計算されます。

BandWidthの計算結果

10000000/100000×256=25600

 

ここで出されているように『25600』が帯域幅の計算結果となります。ここで使用されている『100000』は、デフォルトの100Mbpsを『キロ』で計算されているためです。次に遅延(Delay)となります。

 

Delayの計算結果

(100)/10×256=2560

 

ここで出されている『2560』が遅延の計算結果となります。カッコで囲まれている『100』は、デフォルトの値をそのまま使用しているためですが、必要に応じて明示的に設定するようにしましょう。また、自分自身のインターフェイスとなるため、隣接機器のインターフェイスで使用される遅延値を合算する必要がないので、そのままの値で計算できますね。

 

複合メトリック計算結果

25600+2560=28160

 

これらの『帯域幅(BandWidth)』と『遅延(Delay)』の値を合算した値(28160)がメトリック値となります。実際に確認してみたい場合は、隣接のSW1で『show ip eigrp topology all』で確認してみてください。AD(アドバタイズドディスタンス)で確認することが出来ます。

 

SW1のメトリック

同じようにしてSW1でもメトリックを計算してみましょう。ここで使用されている帯域幅と遅延は、以下の通りとなります。

 

【RT1】

帯域幅(BW) 100000 Kbit/sec

遅延(DLY) 100 μsec

 

【SW1】

帯域幅(BW) 100000 Kbit/sec

遅延(DLY) 100 μsec

 

今回注意しておきたいのは、遅延の値です。先程と違うのは、ルータ1とルータ2の遅延値を合算した値で計算する必要があります。注意して計算してみましょうね。

 

BandWidthの計算結果

10000000/100000*256=25600

 

Delayの計算結果

(100+100)/10*256=5120

 

複合メトリック計算結果

5120+25600=30720

 

ここで計算された値『30720』がスイッチ1で表示されるメトリック値となります。本当にそうなっているかを確認してみると以下のように表示されるはずです。

 

SW1#show ip route

D 10.10.10.0/24 [90/30720] via 10.10.1.1, 01:02:38, FastEthernet0/1

 

 

まとめ

ベル

今回の授業はここまでです。まずはメトリックの基礎を学んでもらいましたが、理解することができましたでしょうか?まずは基礎を理解してもらった上で、次回の授業で実際に設定をしていってもらおうと思います。ここまでをしっかりと復習しておきましょうね。それでは、実際の設定編に入っていきましょう。

EIGRPの設定 ~基礎編~

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