Link Aggregationの概要 〜基礎編②〜
今回の授業は、「リンクアグリゲーション(Link Aggregation)」についてもう少し詳しく教えていきたいと思います。前回の授業で、ざっくり説明しましたが、これだけではなかなか理解しきれない部分もあると思いますので、かみ砕いて解説していきます。前回の授業を受けていない方は、こちらから読んでください。
Link Aggregationの概要 〜基礎編①〜
Contents
Link Aggregationの仕組み
以前の授業では、さらっとLink Aggregationの種類を紹介しましたが、これだけでは理解しきれない部分もあると思いますので、もう少し丁寧(コマンドを含めて)に説明します。
スタティック設定
最初にスタティック設定について解説していきます。スタティック設定とは、相手の都合を考えずにとにかく「リンクアグリゲーションを使うんだ!」という意気込みですね。それが双方で合わされば、リンクアグリゲーションは確立されます。この際に使用するモードは『on』となります。
この『on』のモードにするとスタティックでリンクアグリゲーションを確立しようとされます。双方とも自分のスイッチで接続するのであれば、LACPやPAgPなどを使用する必要もないので、スタティック設定で十分だと思います。
ダイナミック設定
続いてダイナミック設定について解説していきます。ダイナミック設定には、『LACP』と『PAgP』の2種類があることは前回の授業でも解説しましたね。CISCO独自のプロトコルとしては『PAgP』で、他社製品との接続が必要な場合は『LACP』を使用することが多いように思われます。僕の経験からすると、双方で『Active』か『desirable』の動的にネゴシエーションを確立するような設定を入れることが多いように思われます。以下のようなイメージになります。
このように『Active』モードで動的にネゴシエーションしようとするスイッチが1台でもあれば、対向は『Active』モードでも『Passive』でもネゴシエーションは確立されます。しかし、お互いで『Passive』モードで接続してしまうと、どちらもネイバーを確立しようとしないため、LACPは確立されません。
これは、『PAgP』でも同じことが言えます。どちらから一方でも『desirable』モードであれば、相手側が『desirable』モードでも『auto』モードでも『PAgP』は確立されます。しかし前回の授業でも教えましたが、『LACP』と『PAgP』に互換性はないため、同じ動的にネゴシエーションするモードの『Active』と『desirable』モードであってもリンクアグリゲーションが確立することはありません。
このようにプロトコルを合わせないで接続しようとするとエラーになってしまうので、特に他社が対抗機器を用意するような場合は、きちんと使用を確認するようにしましょうね。
Link Aggregationのレイヤー
次にLink Aggregationのレイヤーについて学んでもらいます。リンクアグリゲーションには、2つのレイヤに分類することが出来ます。
Layer2のLink Aggregation
Layer2のLink Aggregationとは、セグメント分割のみを目的としたものであり、セグメントの終端を持たない設定となります。つまり、L2スイッチで設定できるレベルのリンクアグリゲーションとなるため、PortchannelインターフェイスにIPアドレスを振りません。そのため、ルーティングポイントは別のルータかL3スイッチなどで持つようになります。どういった場合に使用するのかと言うと、同一セグメント内で多くのトラフィックが流れる場合などに使用します。具体的な構成は以下のようになります。
このように、L2スイッチに収容されているパソコンから同一セグメント内のサーバへの通信が多くなる場合に、L2スイッチ1とL2スイッチ2間でリンクアグリゲーションを組んだりします。
Layer3のLink Aggregation
Layer3のLink Aggregationとは、先程のLayer2とは異なり、PortchannelインターフェイスにIPアドレスを付与し、ルーティングポイントをスイッチにも持たせるような設計で使用されます。これは、セグメント間の高トラフィックに対する対策となります。例えば、ウイルスパターンファイルなどを配布するサーバは、全端末にパターンファイルを配布する瞬間は、高トラフィックが流れることがあります。その場合にネットワーク機器間がボトルネックにならないようにリンクアグリゲーションを使用することがあります。以下のような構成イメージとなります。
このようにウイルスパターンファイルを配布するサーバは複数あり負荷が分散されているが、同じL3スイッチで収容してボトルネックになってしまったら負荷分散した意味がないですよね。その場合に、L3スイッチと上位のL3スイッチをリンクアグリゲーションで接続することでボトルネックを解消することが可能となります。
まとめ
今回の授業はいかがでしたか?2回に渡ってリンクアグリゲーションについて学んでもらいましたが、次回はいよいよ設定編に入っていこうと思います。設定自体は難しくないのですが、仕様を合わせるということが大切になります。ここまでをしっかりと復習しておいてくださいね!
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