BGPの概要 ~基礎編④~
今回の授業は、「eBGPの特徴」について教えていきたいと思います。前回、取り上げたiBGPと比較しながら教えていきますので、受講していない方は、こちらから。
BGPの授業
Contents
eBGPの特徴
まずは、eBGPの特徴についてまとめていきます。eBGPとは、自分が所属するASとは、別のASに属するルータとのネイバー関係のことを言い、『External BGP』の略となります。
これだけ見ると、iBGPの特徴をなくしてだけの仕様に見えますが、もう少し具体的な仕組みについて見ていきたいと思います。
直接リンクでネイバー関係を確立する
最初の特徴ですが、iBGPでは直接リンクでなくてもネイバーを指定すると、リーチャビリティがあればネイバー関係を確立することができました。それは、TTL(Time To Live)を『255』にセットされたユニキャストパケットにより、ネイバーを探す仕組みになっていたからです。eBGPでも同じように、ユニキャストパケットでネイバーを探すことに関しては同じですが、TTLの値が『1』になっているため、直接リンク以外にルータをホップして探すことが出来ないのです。
しかし、当然、このような値は変更することが出来ます。具体的には、『ebgp-multihop』コマンドでTTLの値を変更することで、直接リンクでなくてもネイバーを確立することが可能となります。今後の授業で取り上げて解説していきますので、このように回避策があるってことだけ覚えておきましょう。
eBGPピア、iBGPピアのどちらからでも、受け取ったルートを配布することが出来る
こちらも前回のiBGPの授業で教えた内容とは異なる特徴になりますね。iBGPでは『iBGPピアから受信したルートは、他のiBGPピアには伝搬させない』と教えたはずですが、eBGPでは『配布出来る』に変わります。そもそもBGPとは、外部のネットワークと接続するために作られたルーティングプロトコルです。そのため、基本的には、外部と接続するための別ASに対して(eBGPピアに対して)、ルートを配布するのが当たり前となるのです。
それでは、『iBGPピアのようにループが発生したれどうするの?』と、鋭い方は思われるかもしれませんね。今までに教えてきた中に回避策があるんですが、気付きましたか?『AS_PATHアトリビュート』です。このアトリビュートの特徴は、『送信元のルータから自ルータまでにホップしてくるルータが所属するAS番号を記録する』ことだったはずです。これにより、ルートを受け取った際に自分と同じASが記録されていたら、ループしている可能性があると判断して破棄されるのです。
AS_PATHアトリビュートの機能
それでは、もう少しAS_PATHアトリビュートの機能について見ていきましょう。AS_PATHアトリビュートには、2つの役割があります。
最初の優先経路の選択については、以前の授業で学んでますが、具体例を復習しておきますね。以下の構成を見てください。
このような場合、ルータ5は、ルータ2を経由する経路であれば、AS100、AS200と自分のASを除けば2つのASを通るだけでルータ1に辿り着きます。しかし、ルータ4を経由する経路であると、AS100、AS300、AS400と、3つのASを通ることになります。これにより、ベストパスはルータ2と判断されるのです。ここまでは、以前のパス属性の授業で学びましたね。これを利用して、ループ回避をすることも出来るのです。以下の構成を見てください。
ここでは、AS100に属したルータ1がAS200に属したルータ2にルート情報を渡します。その際にAS_PATHアトリビュートに自分の所属するAS100を記載しておきます。ルート情報を受け取ったルータ2は、AS300に属したルータ3へ回したとします。この時も同様に、自分が属するAS200を追記して出します。
そこで、ルート情報を受け取ったルータ3がルータ1へ自分のAS300を追記して返す。受け取ったルータ1は、このルート情報に自分のAS100があることに気付きます。そこでルータ1は、他のASを通ってループしている可能性があると判断し、パケットを破棄するようになります。このようにして、eBGPでもルーティングループを回避出来ましたね。
ただし、注意が必要です。以下のような構成の場合は、どうでしょうか?
このような場合、ルータ4は自分のAS番号(AS100)が含まれたルート情報が流れてきているので、ループしていると勘違いして破棄してしまいます。そのため、BGPを使用する場合は、きちんとAS番号の管理をするようにしましょうね!
まとめ
今回の授業は、いかがでしたか?同じBGPであってもiBGPとeBGPでは、全然違います。中途半端な知識で使うと大きなトラブルになります。しっかりと理解してから使用しましょうね!前回はiBGPの特徴を学び、今回はeBGPの特徴を学びましたので、座学はここまでとします。ここまでを理解できましたら、次の授業に進みましょう。eBGPの設定に入っていきます。
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