BGPの概要 ~基礎編①~
今回の授業は、「BGPの概要」について教えていこうと思います。今までは、ローカルネットワークで使用されるルーティングプロトコルですが、今回のBGPはグローバルネットワークで使用されるルーティングプロトコルとなるため、概念的なところで異なることが多いです。ゆっくり進めていきますので、ついてきてもらえればと思います。
Contents
BGP(Border Gateway Protocol)とは
まずルーティングプロトコルには、大きく分けて2つ大別することが出来ます。1つがEGP(Exterior Gateway Protocol)、もう1つがIGP(Interior Gateway Protocol)です。EGPは、インターネットなどの外部の組織と経路情報を交換して、拠点間の通信を確立するためのルーティングプロトコルになります。一方、IGPは、組織内部で経路情報を交換するルーティングプロトコルのことを言います。今回のBGPは、前者のEGPに属し今まで勉強してきたEIGRPやOSPFなどはIGPに属する形になります。
BGP確立から切断まで
まず、BGPが確立してから切断されるまでの流れを解説していきたいと思います。そこで使用されるメッセージには、いくつかありますが、メインで使用されるのは、以下の4つになります。
これらのメッセージを使うことでBGPのネイバー関係を確立、切断、ルーティングテーブルの更新などを行うことが可能になります。
OPENメッセージ
最初に使われるのが、OPENメッセージです。これは、BGPを使用しているルータ同士がTCPで接続が確立されると、まずOPENメッセージを送り合います。そこには、BGPのバージョンや所属AS、ホールド時間、BGP識別子、パラーメータ長、オプションパラメータなどが含まれます。ここで使用されるパラーメタの内容は以下になります。
このメッセージを先に受け取ったルータが、内容確認し問題なければKEEPALIVEメッセージを送り返します。その後、UPDATEメッセージにルーティング情報を載せて送付します。
UPDATEメッセージ
UPDATEメッセージは、OPENメッセージの後に使用されるメッセージですが、これで新しいルートの追加と不要なルートの削除が行われます。具体的なUPDATEメッセージには、以下のパラメータが含まれます。
ここで新しいルート情報を追加したい場合は、「パス属性フィールド長」、「パス属性」、「NLRI」で新しいルートにパス属性を付けて送付し、使えなくなったルート情報を削除したい場合は、「取り消しルートフィールド長」、「取り消しルート」に使えなくなったルートを入力して送付します。これだけでルーティング情報の交換が完了します。もし、ルーティングのメトリックが変更になる場合は、「パス属性フィールド長」、「パス属性」、「NLRI」を使ってパス属性情報を変更することで、メトリック値を変更することが可能です。意外にもシンプルですね。
NOTIFICATIONメッセージ
NOTIFICATIONメッセージは、致命的なエラーが発生した際に使用されるメッセージです。例えば、先に解説したOPENメッセージで提示したホルードタイマーを超えても通信がなかった場合などに、NOTIFICATIONメッセージを送付し、ネイバー関係を切断します。
KEEPALIVEメッセージ
KEEPALIVEメッセージが使われるのは、OPENメッセージの後になります。このOPENメッセージでホールドタイマーを決め、この決められた時間内に通信がないとネイバー関係は切断されます。そこで使われるのが、KEEPALIVEメッセージで、このメッセージをやり取りすることで、ホルードタイマーをリセットすることが出来、ネイバー関係を継続することが出来ます。
AS( Autonomous System )とは
BGPの設計していく上で、必ず必要となるのが『AS』と言う概念です。これは、EIGRPやOSPFで使用してきたASとは、まったくの別物でグローバルで使用されるAS番号(1~64511)とプライベートで使用されるAS番号(64512~65535)で分けられています。ここで言うグローバルとは、ISP(Internet Service Provider)や大企業などのことで、これらの機関にはBGPのAS番号が割り振られています。
このAS番号使って、BGPは2種類に分類することが出来ます。同じAS番号同士の接続をiBGP(Internal BGP)ピア、違うAS番号同士の接続をeBGP(External BGP)ピアと言います。この2種類のBGPピアにより、様々な差分を作ることでルーティング制御を行わるようになります。それは、別の授業で紹介していきます。
BGPのパス属性
BGPのパス属性(アトリビュート)は、他のルーティングプロトコルに比べて、とても多くなっております。そのため、ちゃんと理解して設計することで、より詳細に設定することが可能ですが、複雑になってしまうこともあります。ご注意を。
BGPで使用できるパス属性(アトリビュート)は、以下のような物があり、上から順番に経路選択に使用されます。実際は、すべてのパス属性を使って制御することはないので安心してくださいね!
このように多くのアトリビュートでルート制御が可能となっているため、すべての使って制御するのは困難となります。そのため、導入する環境に合わせてアトリビュートを選定するようにしましょう。このアトリビュートの詳細について、いくつか選んで教えていこうと思いますが、今回はここまで。
まとめ
長くなってきたので、今回の授業は、ここまでにしますが!いかがでしたか?なかなかBGPは、奥が深いですが極めると面白いと思いますよ!次回は、パス属性の中身について学んでいこうと思いますので、お楽しみに~!参照書籍も紹介しておきますので、よかったら一度、書籍で勉強してみるのもいいですよ!さて、次の授業に進みましょう!
【BGPの概要 ~基礎編②~】 パス属性(アトリビュート)を学ぼう!
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