OSPFの概要 ~基礎編②~
今回の授業は、『OSPF(Open Shortest Path First)の概要』の続きを教えていこうと思います。なかなかOSPFは覚えておかないといけないことがたくさんあります。頑張っていきましょう。前回の授業を受けていない方は、こちらからどうぞ!
Contents
OSPFの概念
LSA(Link State Advertisement)の概念
LSAとは、OSPFを使用するネットワーク機器間で使用する接続情報のことです。この接続情報をネットワーク機器間で共有することで、最適なルーティングを実現させるのです。そのLSAには、いくつかのタイプがあります。
LS-Type1
LS-Type1は、Router-LSAと呼ばれます。このLS-Type1がOSPFの基礎となります。このLSAには、Advertising Router(ルータID)、リンク数、ネイバー機器の情報(ネイバールータのID、Linkタイプ、コスト)などが含まれており、同一エリア内でのみ使用されるLSAとなります。
このLS-Type1は、ネイバーの確立やDR/BDRの選出などに使われます。ネイバー確立や選出が完了した後は、定期的にHelloパケットとして交換を行い、リンクの生存確認を行います。このHelloパケットの交換時間も指定することができますが、隣接する機器同士で設定が異なるとネイバーが確立できないので要注意です。
まだ、DR/BDRについて教えていませんので、「何のこと?」って思われるかもしれませんが、とりあえず、『DRはセグメント内で一番偉いルータ!BDRは二番目に偉いルータ!』ってくらいに思っておいてください。このDRがLSDBを作って他のルータに配布するようになります。
LS-Type2
LS-Type2は、Network-LSAと呼ばれます。OSPFは、同一エリア内で同じLSDB(Link State DataBase)というトポロジーテーブルを持ちます。このLSAは、DRのみが生成し、自身(DR)のIPアドレス、セグメントの情報(IPアドレス、サブネットマスク、セグメントに所属されるルータのID等)などが含まれます。これによりエリア内のセグメントおよび、セグメントに所属するルータがすべて把握できるようになります。
LS-Type3
LS-Type3は、Network-summary-LSAと呼ばれます。これは、異なるエリア間で経路やコスト情報を配布する際に使われるLSAです。例えば、バックボーンエリア(エリア0)とノーマルエリア(エリア1)を接続するルータ(ABR)があるとしたら、そのABRがそれぞれのエリアから受信したルート情報を相互に交換させるのが、このLS-Type3になります。
LS-Type4
LS-Type4は、ASBR-summary-LSAと呼ばれます。これは、エリア内のASBRが生成した情報を受け取ったABRが、他のエリアに配布する際に使用されるLSAとなります。このLSAには、ASBRのルータIDとASBRまでのコストが含まれます。
LS-Type5
LS-Type5は、AS-External-LSAと呼ばれます。外部ネットワークで接続されているルータ(ASBR)が生成し、自身のルータID(ASBR)、外部のネットワークアドレス、コスト値などが含まれて配布されます。
これらのLSAを使って、ネイバーの確立を行なっていくわけですが、その前にもう1つ知っておかなければいけないのが、DRとBDRの存在です。
LS-Type7
LS-Type7で使用するフォーマットは、基本的には、LS-Type5と同様になります。使うエリアタイプが、NSSAというところの違いがあるだけです。そのため、このLSAを生成するのも、外部ネットワークと接続しているルータ(ASBR)となります。
DRとBDR
先程、DRとBDRについて、適当に解説していたと思いますので、少し詳しく解説していきますね。
DR(Designated Router)とは、各セグメントの中でリーダー的な役割を持ちます。このリーダーが所属するセグメント内のルータで検知した故障情報と取りまとめ、周知を行う仕組みになっています。また、当然、DRの故障も起こりうるので、そのバックアップとして存在するのが、BDR(Backup Designated Router)です。このDRとBDRのどちらにもなれなかったルータ達をDROTHERとなります。
これらの仕組みにより、セグメント内のネイバー関係を結んだルータ間の情報交換を減らすことが出来るのです。それでは、DRとBDRの動作について、もう少し詳細に見ていきましょう。
黒板の構成図を見てください。これは、DR/BDRがない場合の構成になります。ネットワークに変更が発生した場合、同一セグメント内でネイバー関係を結んだ全てのルータに展開する必要があります。
このようにネットワーク情報を交換する際に、すべてルータがフラットであるため、ネットワーク状態に変化が発生した際に、自分を除くすべてのルータに変更通知を出さなければいけません。この変更通知を送り合う関係性をなるべく減らし、一元管理するために作られたのが、このDRとBDRなのです。それでは、DRとBDRがある場合の構成を見てみましょう。
DROTHERの機器達は、ネットワークの変更があると、DRとBDRにだけ通知を行います。それを受け取ったDRは、LSDBを更新して全てのネイバー関係の機器にアップデートを配布します。もちろん、BDRにもね!BDRは、これによりDRが生存していることも、確認出来るようになっているのです。このアップデートを受け取れないようであれば、DRに何かあった!と認識し、BDRがDRに成り代わってアップデートを配布する仕組みとなっています。
このようにLSAの交換を行うような関係をネイバーではなく、アジャセンシーと呼びます。DRとBDRがないと、アジャセンシーが15本だったのに対して、DRとBDRの仕組みを導入することで、9本で済むのです。
「あれ?そんなに減ってい気が…。」って思った方もいるかもしれませんが、そんなことないんです。6台の構成をサンプルにしているため、そんなに多く感じないかもしれませんが、10台構成であれば、45本が17本に減らすことが出来ます。
まとめ
今回の授業はここまでとします。いかがだったでしょうか?OSPFで使用されるLSAと、DR/BDRについて教えてきましたが、理解することができましたか?ここでLSAのタイプを1~5、7を紹介しましたが、他にもLSAにはタイプがありますが、知っておかなければいけない最低限について書かせてもらいました。気になる方は、前回も紹介させてもらった『詳解OSPF』を参考にしてみてください。
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